ホンネらぼ

猫にまつわる不思議な話・猫の恩返し②

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野良猫からの恩返し

友人のMさんの話です。

Mさんは息子2人と娘1人がいるシングルマザーです。
2人の息子さんはとうの昔に結婚し家を出ています。

息子さんが独立してからは娘さんと暮らしていたのですが、娘さんも結婚が決まり家を出ることになりました。

これまで暮らしていたマンションはファミリー向けなので、1人では広すぎると考えたMさんは引っ越しをすることにしました。

Mさんは1人暮らしに向け、子どもたちが置いていった家具や不用品を処分することにしました。

地域により異なるかもしれませんが、粗大ゴミ収集は指定日の朝に出すというルールになっています。

しかし仕事のある平日の朝、女手ひとつで大物家具や大量の家具を出すことは無理難題。

Mさんは、ゴミ捨て場の空きスペースに前もって粗大ゴミを置かせてもらう許可を取りました。

収集日に直近の休日、大物家具は息子さんに運んでもらい、自分で運べる物は5日くらい前から徐々に運び出すという段取り。

粗大ゴミシールは、数量が確定したら購入する予定。
予想では1万円くらい。

結構な出費ですが「これでサッパリするのだからヨシとしよう!」と本気で断捨離に挑んだそうです。

そして収集日の前日、シールを買うために運び出した粗大ゴミを確認しにいくと・・・

そこに出しておいたはずの粗大ゴミがほとんど消えていたのです。

20個以上のゴミを出したはずが、3~4個くらいしか残っていません。。

Mさんはとりあえず3~4個分の粗大ゴミシールを買いました。

予算も大幅に浮いたので、さらに粗大ゴミの追加をしました。

そのときも10個くらいの処分品があったのですが、また、シールを買おうと確認にいくと1~2個しか残っていません。

Mさんはキツネにつままれた気分だったといいます。

引っ越し日も間近に迫り、手続のため管理会社へいくと・・・

「ずいぶんと粗大ゴミがあったけど、あっという間になくなっちゃいましたね。誰かが持っていったのかな?どっちにしても得しましたね」と言われたそうです。

やっぱり誰かが持っていったんだ。

それにしてもあの大物家具、いったい、いつ運んだの???不思議に思ったそうですが、仕事をしながら引っ越し準備に追われる日々に不思議に思ったことは忘れていたそうです。

そして引っ越し当日。

ガスレンジの処分をうっかりわすれていたMさん。

どうしようか考えていると、引っ越し業者さんのほうから無料で引き取ってくれると申し出があったそうです。

ところどころでラッキーなことが起きてよかった~と、喜ぶMさん。

Mさんは満面の笑みを浮かべながら続けました。

「このラッキーは、もしかしたらクロちゃんの恩返しかも・・・」と。


どうやらMさんは、あの粗大ゴミ置き場で、野良猫にゴハンをあげていたそうです。

それがなぜ恩返しなのか?

聞いてみると、メインの猫はクロちゃんという、とても賢くて穏やかな黒猫。

小さなかすれ声で鳴くクロちゃんは、地域の人気猫ということもあり、あちこちでゴハンをもらっていたそうです。

Mさんのところでも毎回ゴハンを食べるわけではなく、朝、ゴミ出しに行くと、時々待っていたとか。

そんなある日、クロちゃんはMさんが出したゴハンを食べずに塀の向こう側をジッと見ていたそうです。

Mさんは「クロちゃんどうしたの?食べないの?」と、出したフードの紙皿をクロちゃんに寄せました。

クロちゃんは食べずに塀の方を見ています。

Mさんは「そっちで食べたいの?」と、塀の裏側にフードを移動させようとすると、見たことのない猫がヒュンと車のかげに隠れました。

そこでMさんは気がつきました。

クロちゃんは、お腹を空かせているお友達を連れてきたのだと。

すぐに部屋に戻って、フードと紙皿を持ってきました。

ところが、お友達猫は人への警戒心が強く、少しでも近づくと逃げてしまいます。

逃げるといっても距離をとるような感じで、ゴハンを食べたそうに物陰から様子をうかがっています。

Mさんは物陰にいるお友達猫に向かって
「大丈夫だよ、何にもしないからね」と声をかけ、紙皿を塀の向こう側に置いて、その場を去りました。

そして、ゴミ置き場が見える2階の踊り場から見てみると、お友達猫はガツガツとゴハンを食べていたそうです。

安心したのか?クロちゃんもゴハンを食べ始めたところで部屋に戻ったそうですが、それからしばらくの間、クロちゃんとお友達猫は仲良くゴハンを食べにきたそうです。

これは、Mさんが引っ越しをする2年ほど前の話。

引っ越しするころには『クロちゃんは旅立ったのではないか』という噂があったそうです。

Mさんはいわく、天国に旅立ったクロちゃんが、ゴハンをくれたその場所でお礼をしてくれたのだと。